占有権と所有権ってどこが違う?

民法に書かれている占有権と所有権の違いについてまとめていきます。

占有権と所有権の違い

占有権と所有権という二つの単語は同じような感じもしますが、民法上における扱いでは厳密に異なる部分があります。

まずは、具体的な例を出してみます。

①のび太「新しい漫画を買ったぞー」
②ジャイアン「お、その漫画新しいやつじゃないか! お前の物は俺のものだ!」
のび太「そんなぁ~・・・」

この例の場合、漫画が「物」となり、登場している人物はのび太とジャイアンの二人になります。

まず、①の段階ではのび太はきちんとお金を払って漫画を購入しました。この時点で漫画の所有権と占有権は両方とものび太にあります。

そして、②でのび太はジャイアンに漫画をパクられてしまいました。もちろんこれは両者の合意に基づく物の移動ではないため、この段階において漫画の所有権はのび太のままなのですが、占有権はたとえパクった物であったとしてもジャイアンの物となります。ここが占有権と所有権の大きな違いです。

占有権とは「今」それを持っている人の権利を認めるものであり、それが借りた者であろうが盗んだものであろうがなんであっても持っていれば占有権が認められるのです。

そのため、ここからジャイアンがほかの人に本をパクられるようなことが起きたときはその人に対してジャイアンは「返せ」ということも認められています(第200条:占有回収の訴え)。

占有者が所有者に負う義務

ただし、占有権が盗んだ人のところに移ったからと言って好き勝手やっていいわけでもなく、占有権の項目には第190条に「悪意の占有者による果実の返還等」という項目が定められており、非合法なやり方で手に入れた物に対して奪った人に対してその対価の全額を弁償する義務を負うとしています。

また、盗みではなく両者合意による貸し借りなどの場合なども同じように弁償の義務を負うことになりますが、こちらの場合は弁償する額は小さめとなるようです(ただし、善意であったとしても、裁判を起こされて敗訴したり、最初から占有する気なんてなかった場合には善意ではなく悪意だと判断され、やはり全額弁償の義務が出てきます)。

貸したものを売られたら・・・?

それでは、もし貸したものをどこかの店で売られた場合はどうなるのでしょうか? また例を挙げて詳しく説明してみます。

山田「ゲーム貸すね」
①鈴木「どうも」2日後・・・

鈴木「(山田から借りた)このゲーム買い取ってください」
②ゲームショップ「わかりました。買い取らせていただきます」

①の段階においては、物を貸しているだけなので所有権は山田から変わりません。しかし、②の段階で正式な手続きを踏んで物をお店に売った場合、物の所有権が店に移ることになり、こうなると山田はゲームを取り返すのが難しくなってきます(第192条:即時取得)。

このケースだとまだゲームショップに売られたゲームが再び中古として売られている可能性があるので買い戻すことによって取り返すことができるかもしれませんが、もしその中古品が新しく佐藤という人に売れてしまった場合は所有権は佐藤に移ることになります。

山田が自分が貸したゲームが佐藤のところにあるとわかってそれを「返せ!」といったとしても、佐藤からしてみれば普通に店に売っているものを買っただけなので「これは俺のものだ」といわれるともはやゲームは山田のところには返ってこないでしょう。

盗まれたのもならば

ただし、上の例においてもしこれが貸したものではなく、パクられたものであった場合は例外の決まりがあり、パクられてから2年以内であればそれを持っている人(この場合は佐藤)から取り返すことができます(第193条:盗品又は遺失物の回復)。

ただし、このケースにおいても山田は佐藤に対して佐藤が店からゲームを買った代金分を払わなければなりませんが・・・(第194条)

いずれの場合においても、先ほど説明したとおりゲームを勝手に店に売った鈴木は山田にゲームの代金を弁償しなければならないのは言うまでもありません。

まとめ

長々と占有権と所有権についてまとめてみましたが、ぶっちゃけて言えば「勝手に物を売ったり、最初から返す気がなさそうな人に物は貸さない方がいい」と思いますし、「盗まれたものを取り返すことは一応できそうだけど、ゲームみたいな小さいものだと取り返す労力を考えたときに、果たして占有回収という手段を使ってまでやる価値があるのか・・・」と考える人が出てきて結局泣き寝入りになる・・・ことも多い気もします。

物の貸し借りは日常でもよくあるトラブルだと思われますので、安易な気持ちで物を貸し借りすることはあまりしない方がよいと思われます。

※盗んだ場合はもちろん窃盗罪に当たりますが、この記事では民法の占有権と所有権に焦点を当ててまとめましたのでここではあえて触れていません。

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