放火犯は懲役何年になる? 第9章「放火及び失火の罪」

火災発生件数のうち、放火が占める割合は少なくありません。

火災に占める放火の件数は少なくない

放火とは単純に火を放つことです。しかし、それは非常に危険な行為であり、場合によっては人を死に至らせることもある重大な罪としてとらえられています。

総出火件数の 39,111 件を出火原因別にみると、「放火」4,033 件(10.3%)、「た ばこ」3,638 件(9.3%)、「こんろ」3,497 件(8.9%)、「放火の疑い」2,469 件(6.3%)、 「たき火」2,305 件(5.9%)、の順となっています。また、「放火」及び「放火の 疑い」を合わせると 6,502 件(16.6%)となっています。

引用:平成27年(1月~12月)における火災の状況(確定値)- 総務省消防庁

※PDFデータです

火災の発生原因のうち、放火や放火の疑いを合わせるとその数は全体の15%ほどと、ほかの原因と比べても少なくない数値です。

刑法の第9章にまとめられている「放火及び失火の罪」はそれを禁止するものでありますが、ここではもう一つ「あること」にも気を付けるような決まりがあります。

放火したときの状況で罪の重さは変わる

しかし、火を放つと言ってもこれだけでは極端な話自分の煙草にライターで火をつけるのも放火になってしまいます。放火罪においては放火したときにどのような状況だったのかによって適用される罪が代わってきます。以下の表にまとめてみました。

状況1 状況2 刑罰
燃やしたものに人がいるか、人が住んでいる建物の場合(第108条) 死刑、5年~無期の懲役、未遂も罰する
燃やしたものに人がいない建物の場合(第109条) 他人の物(1項) 2年以上の有期懲役、未遂も罰する
(同上) 自分の物(2項) 6か月~7年の懲役
(同上) 自分の者でかつ周りに迷惑をかけていないとき(2項) なし
上二つ以外の物を燃やした場合(第110条) 他人の物(1項) 1年~10年の懲役
(同上) 自分の物(2項) 1年以下の懲役または10万円以下の罰金
(同上) 自分の者でかつ周りに迷惑をかけていないとき (この章にこの規定がないため、器物破損罪の条件にゆだねる)

状況は建物なのかそうでないのか、人がいるのかいないのか、自分の物なのかそうでないのかによって刑罰の重さは変わってきます。たとえ燃やしたものが自分の物であったとしてもそれが周りに迷惑をかけているならば罪になるということです。

また、上の表の橙字に当たる物を燃やした結果、赤字に当たる物桃字に当たる物に燃え移ってしまったときは延焼罪が適用され、罪が重くなります(赤字の物なら3年~10年の懲役、桃字の物なら3年以下の懲役です。第111条)。簡単に言えば、「自分の物を燃やそうとしたら他人の物まで燃えてしまった」状況がこれに当たります。

赤字に当たる物に関しては予備罪、つまりそれを燃やそうと準備をしただけであっても罪に問われます(2年以下の懲役。情状酌量あり。第113条)。

また、火事が発生したときに消火に必要なもの(消化器など)を隠したりすることも禁止されています(第114条:消火妨害)。

差し押さえられている物は自分の物?

自分の物を燃やしたときは基本的に他人の物を燃やしたときよりも刑罰は軽くなっていますが、その「自分の物」が誰かに差し押さえられていた場合は「他人の物」という扱いになります。差し押さえだけでなく、賃貸や保険にかけているものも同様の扱いになるようです。

具体的には、「自分の住んでいる賃貸マンションの部屋を燃やしたとき」は、「他人の物を燃やした」と判断されると考えられます(第115条:差押え等に係る自己の物に関する特例)。

たばこの後始末はきちんとしましょう

ここで、冒頭で言った「あること」についての規定が出てきます。それは「火の取り扱いを誤った時」です。

第116条では失火罪が規定されており、身近なものではたばこの火の不始末が原因で出火した場合に罰せられることになります。上記の消防庁のデータではたばこが原因による火災の発生件数は1割ほどと多くなっているため、この刑が適用される事も多いと考えられます。

放火と違って過失であるために刑罰は軽くなっていますが(50万円以下の罰金)、たばこをはじめ、火の後始末や取り扱いは気をつけるようにしましょう。

また、場合によっては失火罪ではなくより刑罰の思い放火罪が適用されるケースもあるかもしれません。

業務中だったとき

第117条では火薬やボイラーなどを破裂させたときに関する罰則が定められています(基本的に放火の時と同じ)。

重用なのは第117条の2項の部分と言えるでしょう。というのも、ここには業務上の注意を怠った時、つまり仕事でミスをしたときに関する罰則があります。火を扱う仕事をしていて、その最中に重大なミスを起こして火災が発生したときの罰則として、3年以下の禁錮または150万円以下の罰金が定められています。

放火よりも刑が軽いとはいえ、こういった仕事をしている人たちにはしっかりと緊張感を持って臨んでほしいものです。

ガスの扱いについて

この章ではガスの取り扱いについても決まりがあります。簡単に言えば、「ガスを故意に漏らしたりすること」が禁止されています。危ないですからね(第118条)。

まとめ

放火はもちろんダメなことですが、私たちが気を付けなければならないのは失火罪の方でしょう。繰り返しになりますが、たばこの火の不始末など、火を扱う時は十分注意するようにしましょう。

スポンサーリンク

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする

スポンサーリンク